鍵は「渡して終わり」になりません
貸している物件について、今その鍵が何本あるか、すぐに答えられるでしょうか。
入居のときに渡した本数。その後で作られた合鍵。前の入居者の方に渡したまま、返ってきていないもの。あらためて数えてみると、手元の記録と合わないことがあります。
鍵は、渡すときが一番落ち着いています。入居の準備が整い、双方に余裕がある場面です。ところが実際に決めごとが必要になるのは、なくしたという連絡が入った後です。落ち着いていない場面で、費用の話をすることになります。
先に決めておくというのは、この順番を入れ替えておくことだと考えています。
決めていないと、こういう場面になります
入居中の方から「鍵をなくした」と連絡が来たとき、その場で決めなければならないことが2つあります。
・鍵の本体ごと取り替えるのか、同じ鍵で合鍵を1本作って渡すのか
・かかった費用を、貸す側と借りる側のどちらが持つのか
どちらも決めていなければ、その場での相談になります。実際には、次のような形になることがあります。
その1 入居中の方が、先に業者を手配してしまう
鍵をなくした方は、その日のうちに家へ入りたいと考えます。所有者の方が遠方にお住まいで連絡がすぐ取れない場合、ご自身で業者を呼んで取り替えてしまうことがあります。そして退去のときになって、その費用を精算してほしいと求められる、という流れです。
こうなると、取り替えた鍵の種類も、かかった費用も、所有者の方が選んでいません。それでも話し合いはそこから始めることになります。
その2 取り替えたいのに、話が進まない
防犯のために本体ごと取り替えたいと考えても、費用をどちらが持つかで折り合わないことがあります。そのあいだ、次の入居者の方を探す準備も止まります。
費用そのものより、時間が止まることの方が響く場合があります。
その3 言い分が食い違う
退去のときに「最初からこの本数しか受け取っていない」「普通に使っていて壊れたのだから、直すのは所有者の側ではないか」といった見方の違いが出ることがあります。
どちらの言い分にも理屈があるので、その場で詰めようとすると、話が長くなりやすいところです。
渡すときに決めておくとよい3点
鍵を渡す場面で、次の3つを書面に残しておくことをお勧めしています。
・何本渡したか。玄関、集合玄関、郵便受け、駐輪場など、種類ごとの本数
・なくした、壊したときの費用を、どちらが持つか
・本体ごと取り替えるか、合鍵で済ませるかを、どちらが決めるか
3つ目は見落とされやすいところです。費用の負担だけを決めておいても、「取り替えまでは必要ない」「いや取り替えたい」で意見が分かれると、結局そこで止まります。先ほどの「その1」も「その2」も、ここが決まっていれば形が変わっていた場面です。
なお、合鍵を自由に作ってよいかどうかも、あわせて決めておくとよい点です。貸す側が把握していない鍵が増えると、本数の記録そのものが意味を持たなくなります。
人が入れ替わる住まいでは、本数の管理がより効いてきます
寮や社宅のように、同じ部屋に住む方が入れ替わる使い方をしている物件では、鍵の本数がそのまま人の出入りの記録になります。
住む方が増えたときに1本追加し、減ったときに1本返してもらう。そのつど届け出てもらう形にしておくと、今その建物に何本の鍵が出ているかが、常に分かる状態になります。
この形をとっていない場合、何年か経ったところで、誰が持っているのか分からない鍵が出てきます。そうなると、防犯のために取り替えたいと思っても、費用を誰に求めるべきかの話ができなくなります。
正直に申し上げると、書いておけば解決するわけではありません
書面に残しておいても、実際になくされたときに、そこに書いたとおりに費用を負担していただけるとは限りません。話し合いになる場合もあります。
それでも、決めていなかった場合とは出発点が違います。決めてあれば「書いてあるとおりに進めましょう」から始まりますが、決めていなければ「まず何をどうするか」から始めることになります。この差は、遠方にお住まいで現地にすぐ行けない方ほど大きく効いてくる見込みです。
書面は、もめごとを起こさないためのものというより、起きたときに話を短く済ませるためのものだとお考えいただくのがよいと思います。
よくあるご質問
鍵をなくされたとき、本体ごと取り替える費用は誰が負担するのが一般的でしょうか
借りている方の不注意でなくされた場合は、借りている方の負担とすることが多い形です。ただし、これは法律で決まっているものではなく、契約や書面での取り決めによります。決めていない場合は、その場での話し合いになります。
合鍵を1本作るのと、本体ごと取り替えるのでは、どちらを選ぶべきでしょうか
防犯を考えれば、本体ごとの取り替えが安全です。なくした鍵を誰が拾ったか分からないためです。ただし費用は合鍵より大きくなります。どちらを選ぶかを誰が決めるのかを、あらかじめ書面に残しておくことをお勧めしています。
入居している方が勝手に鍵を交換してしまった場合、どうなりますか
取り替えた鍵の種類も費用も、所有者の方が選んでいない状態になります。退去のときに費用の精算を求められることがあり、そこから話し合いが始まります。事前に「取り替えるかどうかは所有者が決める」と書面で定めておくと、この形を避けやすくなります。
寮や社宅として貸している場合、鍵の管理で気をつける点はありますか
住む方が入れ替わるため、鍵の本数がそのまま人の出入りの記録になります。増えたときに1本追加し、減ったときに1本返してもらう形にして、そのつど届け出てもらうとよいと考えます。届け出の形をとっていないと、何年か経って誰が持っているか分からない鍵が出てきます。
書面に残しておけば、必ず費用を負担してもらえますか
そうとは限りません。実際になくされたときに、書いたとおりに進まず話し合いになることもあります。それでも、決めていなかった場合とは出発点が違います。書面は、もめごとを起こさないためというより、起きたときに話を短く済ませるためのものとお考えください。
つなぐ不動産では、遠方にお住まいの所有者様に代わって、鍵の管理や現地の確認をお引き受けしています。良い点だけでなく、直した方がよい点も正直にお伝えします。
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